アクアマリンの宝石言葉 知恵、知識、聡明

歴史
アクアマリンは、今からおよそ2000年前にローマ人によって名付けられ、その語源はラテン語で水を表すアクアと海を表すマリンからきています。
また、これを身に着けると激情を和らげ、沈着冷静になれるとも言われています。
産地と特色
現在の主な産地はブラジル、ナイジェリア、モザンピーク、マダガスカルです。
この中で、ブラジル産は現地で研磨されて輸出されるものが多く、他の産地の原石はドイツ、インド、タイに持ち込まれて研磨されています。
また、産地の特色として、ブラジル産は大粒で、色は淡め、キズも少ないものが多く、一部は加熱処理をされているので美しいブルーはかわることがありません。
ナイジェリア産は、1~2カラットの濃い目の高品質のものに研磨できる原石が多く、加熱処理はせず、天然のままのものが多いのが特徴です。
モザンピーク産は、サンタマリア・アフリカーナと名付けられ、濃い目の高品質のアクアマリンの代名詞となっています。
特に濃すぎてグレイがかるため、美しさに欠けるものがあります。
◆ アクアマリンの4C ◆
喜連川宝石研究所 所長 喜連川純氏著
カラット(carat)
アクアマリンは、数ある宝石のなかでも、とびぬけて巨大な、高品質の原石が産出することで有名な宝石です。
記録によりますと、「1910年3月28日、ブラジルのミナス・ジェライス州マランバイア地方で、花崗岩の岩脈5メートルの深さから55万キャラット強(110.2kg)のアクアマリンを発見。
この結晶は長さが48.3センチ、横41センチの不規則な六角柱状で、その透明度は結晶を通してかなり遠方の景色が見えるほどであった。
この結晶は25000ドルの高値で売られた。」とあります。
これほどではないまでも、大きい原石はブラジルはもとより、ロシア、スリランカ、マダガスカルでも見るかっております。
とはいえ、これらの巨大アクアマリンは、博物館に入るか、一部のコレクター向きで、小さくカットしないかぎり宝飾品としては不向きです。
宝石は、着ける宝飾品によって、それぞれ、ある”ほどの良さ“の大きさがあり、(業者の言葉でこれを「ブリがいい」といいます。)それを超えると、宝石もそれを着けている人も品位を落としてしまう危険性をもっております。
アクアマリンは、色の良い、可愛らしい小粒のものから、大きくても22~3キャラット(例:約18×15×12ミリ)ぐらいまでが、品よく、楽しく使える大きさだと思ってください。
カラー(color)
アクアマリンは色石というぐらいですから、当然、カラーが命です。
ちょっと目をつぶって、沖縄の深い海を想像してみて下さい。
その海をバケツですくってみて、果たしてその海水は濃い青色をしているでしょうか。
いいえ、白いバスタブに水をいっぱい入れてやっと水色が分かるぐらいですから、答えはもちろん「ノー」です。
ちょっと濃い目の青い巨大アクアマリンも、実用向きに小さくカットすると、見る影もないくらい薄い色になってしまいます。
そうならないためには、ほとんど黒に近い青でないと、原石の買い付けは失敗してしまいます。
もちろん、カットされているものをお買い求めになる皆様には、その心配は不必要なものですが。
つぎに、海の色にもいろいろあるように、アクアマリンも産地によってその青色に微妙な違いがでてきます。
ブラジルでは色の濃さのことをクオリティーといいますが、まず鉱山名、つぎにクオリティーとつけて、色の等級分けをしています。
一番美しいのは、サンタ・マリア・デ・イタビラ鉱山のサンタ・マリア・クオリティーといい、以下エストピリト・サント、マルタ・ロチア、フォルタレサetcと現地では実に三十等級にも色を分類して取引しております。
しかし、実際の宝石市場では、そこまで細かく分けて売られてはいません。
みどり味がなく「美しい青」と感じられたものをお買い求めになれば、まず、間違いはないでしょう。
また、最高の色として、サファイヤに近いような青もありますが、色も価格もアクアマリンらしさがなく、可愛げがないのでおやめになった方がいいでしょう。
クラリティー(clarity)
これは透明度ということです。
アクアマリンの光沢(これをテリといいます)の良さは、他の宝石と比べ、抜群にいいのですが、それは内部になんの不純物も入ってないときった海のようでは、アクアマリンの美しさの神髄は発揮されません。
ぜったいにすっきりしたものを選ぶべきです。
ただ、特殊なものとして、内部にストローの束みたいなものがびっしり入っていて、カボション・カットに研磨するとキャッツ・アイになるものもあります。
カット(cut)
気品漂うカットならエメラルド・カット。
きらめきを楽しまれるならカット面数の多いもの、それもパビリオンにたくさんあるものをお求めになられると良いでしょう。
いづれにしても、汚れた状態ではアクアマリンの真価は出て来ません。
そればかりではなく、誕生石としても、守護石としても、汚れていては神様もへそを曲げられ、ご利益も半減しようというものです。
これからは、守護石の出番の月がその宝石のクリーニングの月と思って、奇麗にして頂きたいものです。
ちなみに、アクアマリンは、台所用の中性洗剤と、水彩画の絵筆で洗ったのち、ティッシュペーパーで水けを吸い取ると簡単に奇麗にすることが出来ます。
◆ アクアマリンの豆知識 ◆
アクアマリンは、エメラルドと同じ鉱物であるべリル(緑柱石)に属します。
しかし性質や価値観はかなり違います。
エメラルドにはインクルージョン(内包物)やキズが必ずあり、これが有るものが本物とされているのに対し、アクアマリンは傷がなく透明に近いものほど価値があるとされています。
また不思議なことに、同じ鉱物でありながらエメラルドの採れる所ではアクアマリンはほとんど採れません。
アクアマリンが三月の誕生石となったのは魚座の守護石であるところからです。
「アクア」は水の意味、「マリン」は海、つまりアクアマリンは「海の水」。
昔からアクアマリンは船乗りたちから、公開の無事を祈るお守りとして愛されてきました。