ペリドートの宝石言葉 友愛・夫婦の和合

オリーブグリーンからライムグリーンまでさまざまな美しいグリーンが煌めきます。
最高の色
ブラウン味が少なく、オリーブカラーがかった美しいグリーンが良いとされています。
産地
ミャンマーを始めノルウェイ、オーストラリア、アリゾナ、ブラジル、中国、ケニアなどで産出されています。
イブニングエメラルド
イブニングエメラルドという宝石をご存知ですか?
これはペリドートのことで、この石は昼間よりも夜にぐっとグリーンが深く見え、しかも蛍光灯で素晴らしく輝き、煌めきは抜群というところから、イブニングエメラルドと呼ばれるようになりました。
選び方
ペリドートは10~20カラットの大粒の石も多くありますので、思い切ってボリュームのある石を選び、ペンダントやリングと華やかな装いをしてみてはいかがでしょうか。
◆ いろんな名前で出ています ◆
喜連川宝石研究所 所長 喜連川純氏著
マリー・ローランサンのパレットから抜け出てきたような、透明で上品な若草色のペリドートが八月の誕生石であり、守護石でもあります。
この石の産地のひとつに、日本人の大好きなハワイがあります。
1778年、イギリスの探検家キャプテン・クックについてオアフ島に上陸した船員が、ひときわ高い山で、
砂陳(されき)に混じってキラキラとダイヤモンドのように輝く石を発見しました。
その後、この石はペリドートという宝石であることが分かりましたがそのことから、この火山には皆さんご存じのダイヤモンド・ヘッドという名前がつけられるようになったのです。
ペリドートとは宝石名で、日本名を檄攬石(かんらんせき)といい、鉱物名はオリビンといいます。
私かいったとき、ハワイではこのオリビンという名で売られていましたが、一般にイギリス、アメリカの宝石店ではこの鉱物名を、日本では宝石名のペリドートがつかわれているようです。
もっともドイツみたいに、いまだにペリドートの昔の名前であるクリソライトで売られているところもありますが-。
そのほか、この宝石は夕方以降になると、さらにその緑があざやかさを増し、夜の光に格別映えるところから、イブニング・エメラルドという名称もつかわれております。
◆ 飛び出す映画とペリドート ◆
立体映画を見るとき、偏光めがねをかけて見ますが、そのめがねを外すと映像は二つにズレて、ダブってみえるはずです。
ペリドートは複屈折が強い宝石ですので、石を動かしながら、ルーペで石ごしに内包物や反対側のカットの稜線を見ますと、どこかの角度でさきほどの眼鏡なしの立体映画みたいに、それらがダブって見えます。
ガラス・イミテーションは単屈折のため「ダプリング」といわれているこのような現象はけっしてでません。
つまり、ペリドートは、色と質感とルーペで鑑別できる宝石なのです。
シルクロードがブームであった頃、私はある考古学の先生方と中央アジアに行くことになりました。
その頃はまだソ連の時代でしたが、サマルカンドからゼラフシャンの川ぞいにバスにゆられて70キロ。
現在もソグド文化の発掘がつづいているペンジケントに行ったときのことです。
私は地方色豊かなこの田舎町で、こんなところにあるはずのないベリョースカ(白樺・外人旅行者専用のみやげもの店)を見つけ、べつに期待をするでもなく、ふらっと入ってみました。
が、なんと、そこには明らかに、ペリドート色のさされ石を石なりの形に丸く磨いて、
グラデューション(中央が大粒で、その左右に順次小さくなるよう配列したもの)にしたネックレスが10本ばかりあるではありませんか、
しかも日本円にして2000円ほどの格安のお値段なのです。
これがペリドートなら買い物と、さっそくルーペを取り出し、糸がとおっている穴口を石ごしに見ました。
ありました。
どの石もみな穴口がダブって見えたのです。
私は最初に見つけたものの特権として、そのなかでいちばん品質のいいのを選んでから一行に知らせました。
なにしろ宝石関係は私だけでしたので、みなさんその声を聞き、そこに殺到。
アッというまにネックレスは消えてしまいました。
数がなかったため、買いそびれた方は本当に残念な思いでネッカチーフなど買われておりました。
帰りのバスでそのくやしさの塊であるネッカチーフを見せてもらったところ、あァあ、縫い付けていたラベルに〝MADE IN JAPAN〟と書いてあったのです。
私は、これ以上ショックをあたえてはとソッとお返ししておきました。
このようなことは、海外旅行によくあることです。くれぐれも製造国にはご注意を。
◆ いいペリドートの見分け方 ◆
ペリドートの鉱物名オリビンとは、その名が示すとおり、代表的な聖書植物であるオリーブの果実の色からつけられたものです。
オリーブは、キリスト教、イスラム教ともに聖樹であり、むかしから宗教と生活に密着していた植物であるため、黄緑の石を見て、すぐオリ-ブの実を連想したのでしょう。
われわれ日本人には思いつかない発想です。
しかし、宝石としては、透明度の高い、若葉色から雨に濡れた芝生色が好ましく、暗緑色とか褐色がかったオリーブの実の色では価値が低く評価されてしまいます。
つまり、名前の由来はそうでも、市販のオリーブの果実色を基準にしないことです。
つぎに大きさですが、ペリドートは地球のかなり深いところでつくられ、それが猛スピードで地表に上がってきたため、かなりの衝撃を受け、その多くがハワイの海岸でみられるようなバラバラの砂粒状になるか、小さいさざれ石になってしまいます。
現在、ハワイで売られているペリドートのほとんどが、アメリカ本土のアリゾナ産か、オーストラリア産のものと見ていいでしょう。
といっても、ペリドートは小粒ばかりというわけではありません。
ミャンマーではウーンとうなるような、色とテリの良い、高品質で大粒の石が産出されておりますし、エジプト、ノルウェー、フィンランド、メキシコ、ブラジル、ケニア、中国と世界各地でとれていますから、ご予算と目的にあわせて大きさとデザインを選ばれたらよろしいかと思います。
ペリドートの持ち方としましては、硬度6.5~7ですので擦り(すり)傷に気をつけること。
超音波洗浄にはかけず、手洗いでやることです。
若草色は、若い方は明るく、ご年配の方は3歳は若返って見える不思議な色です。
ぜひ、この上品で、華美にすぎず、爽(さわ)やかな気分になるペリドートをお楽しみください。